MENU タップでメニューに移動

日本ソーシャルワーク学会会長挨拶

日本ソーシャルワーク学会
会長 空閑浩人(同志社大学)

 2026年7月に開催された総会で、本学会の会長を仰せつかることになりました、同志社大学の空閑浩人(くがひろと)です。

 私がこの学会に入会しましたのは、今から約30年前の大学院生の頃でした。その頃は「日本社会福祉実践理論学会」という名称の学会で、当時の会長は岡本民夫先生、そして庶務担当理事・事務局長は、前会長の小山隆先生、私はそのお二人の先生方のもとで事務局のアルバイトをさせて頂いておりました。

 アルバイトの経験も含めてこの学会に参加するなかで、私はソーシャルワークの研究、教育、そして実践に関することはもちろん、学会を構成する一会員としての姿勢、学会とは何かということや学会運営に関する様々なことを学ばせて頂きました。そのような経験や学びを通して、今日に至るまで、研究者や教育者として鍛えられ、励まされ、そして育ててもらった場所が、私にとってはこの日本ソーシャルワーク学会です。

 そのような学会に、あらためて感謝をし、何より「恩返し」をしなければいけないという思いが強くあります。力不足は承知の上ではありますが、副会長そして理事・監事の先生方にご指導を頂きながら、精一杯務めさせて頂きたいと思います。

 学会員の皆様には、このたび、私とともに理事・監事として着任された先生方、また各委員会の委員となっていただく先生方ともども、ご支援くださいますよう心よりお願い申し上げます。

 さて、少子・高齢化や人口減少、家族形態の多様化のなかで、社会福祉やソーシャルワークを取り巻く状況が様々に変化する時代に私たちはいます。産業構造や就業構造の変化に伴う不安定な就労条件や非正規雇用の増大、低所得や貧困問題の広がりがあります。地域における血縁や地縁に基づく人々のつながりの希薄化や共同体機能の脆弱化による社会的孤立の状況、様々なかたちでの差別や分断状況の発生、生活だけでなく生命の危機をもたらす大規模災害の発生があります。

 さらには、生活の様々な場面での市場原理やそれに伴うコスパやタイパという言葉で表現される価値観の浸透、SNSや生成AIの急速な広がりによる日常の人間関係や社会関係、また職業形態や人々の働き方の変容が見られます。そして、依然として世の中に根強く存在する自己責任論の考え方があります。

 このような昨今の激しい動きや変化のなかで、私たちが暮らす社会は、様々な社会的で構造的な問題と、それによる生活問題や生活困難を抱える状況にあります。人々が様々な生きづらさや生活のしづらさに直面している状況があります。現在の世の中全体の状況は、誰もが個人としてその尊厳が守られ人としての当たり前の権利が保障されるという、社会福祉やソーシャルワークが目指す方向とは、逆の方向に向かっているように思えてなりません。

 私たちの社会がこのままで良いわけがありません。私たちが生きる社会は、どのような社会であるべきなのか、私たちはどのような社会を願うのか、実現するべきなのか、そして未来に遺すのかが、あらためて問われていると思います。現在が不条理で理不尽な世の中であるならば、そのあり方に異を唱え、抗う思想や理論そして実践としてのソーシャルワークでなければならないと思います。

 今こそソーシャルワークが求められる時代だと思います。この時代や社会状況のなかで、ソーシャルワーク(の実践、教育、研究)は何をするべきなのか、その意義や役割、使命を、問い直し具現化する学会活動を進めていきたいと思います。学会員の皆様が、世代を超えて、立場を越えて、創造的・開発的に(それこそ「ソーシャルワーク的」に)様々な意見交換や議論が展開され、様々につながりや交流が促される学会でありたいと思います。

 会員の皆様お一人お一人が、この日本ソーシャルワーク学会を構成し、様々な活動や取り組みを推進し、そしてソーシャルワークの実践、教育、研究のさらなる発展を導く、大切な「主体」です。

 学会活動への皆様のより一層の積極的なご参加をよろしくお願い申し上げます。

このページのトップへ