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2015年度 第32回大会

日程
2015年7月18日(土)~ 19日(日) ※7/20 ソーシャルワーカーデー
会場
日本社会事業大学(東京都清瀬市)

これまでご案内しておりますように、日本ソーシャルワーク学会第32回大会は、ソーシャルワーク職能4団体(日本ソーシャルワーカー協会、日本社会福祉士会、日本精神保健福祉士協会、日本医療社会福祉協会)と共催して、7月20日のソーシャルワーカーデーの前日、前々日の7月18日19日に日本社会事業大学で開催いたします。

大会テーマは、「『変革』:ミクロからマクロへの戦略 ~つながりと分かち合いの未来へ」としました。実践に基づく専門職であるソーシャルワーカーは、相談援助などミクロレベルで積み上げた実践を、メゾ・マクロの実践、さらには政策へと反映させる支援方法論を確立し、その基盤となる確かな価値・理念を持つことが求められています。

2014年7月に改訂されたソーシャルワークのグローバル定義では、その目標概念に「社会変革と社会開発」を位置づけ、「社会的結束、および人々のエンパワメントと解放」とともに、ソーシャルワークはそれらを「促進する、実践に基づいた専門職であり学問である」としました。「社会変革と社会開発」は、マクロ実践ソーシャルワークが主に対応する目標であり、活動課題です。ソーシャルワーカ ーには、「社会変革と社会開発」のために有効で、確かな支援方法論を身に付けることが求められています。しかしながら、世界的に見ても現時点ではそれが必ずしも十分に確立していない現状があるように思います。福祉ニーズを持つ人とその環境とが相互に影響し合う接点に介入するソーシャルワーカーは、「実践に基づいた専門職」として、ミクロで積み上げた実践を、メゾ・マクロの実践、さらには政策へと反映する不断の努力が求められています。その中でソーシャルワーカーは、実践に根ざした制度・施策の構築、そして根拠にもとづく実践から有効な支援環境を作り出し発展させ、社会に対して発信・提言することが必要になるでしょう。昨今、国の社会諸制度において、国主導から地方・地域・コミュニティ、そして当事者へと問題を捉える視点が変化しています。その中で、このようなボトムアップ型のマクロ実践ソーシャルワークアプローチは、社会が求めるアプローチになって来たと言えるでしょう。実践的で、科学的な根拠にもとづく政策・施策を積み上げて行くこと、それはつながりと分かち合いを進める社会の仕組みを作り上げることにもつながります。そのためのアプローチは、実践的で戦略的な根拠にもとづくマクロ実践ソーシャルワークであり、つながりと分かち合いのアプローチと言えるでしょう。私たちはいま、そのようなソーシャルワークのあり方を問うて行く必要があると考えます。

本大会では、いま改めてこれからのソーシャルワーク実践、ミクロからマクロを展望するマクロ実践ソーシャルワークのあり方とその理念と専門的方法論、そして戦略のあり方を問いたいと考えています。

以上を踏まえて、本大会では2日間にわたって上記の基本認識と課題を深めるためのプログラムを用意しています。

第一日目7月18日は、まず大会長である大島が基調講演「根拠に基づく支援環境の開発と変革、その理念~実践家・利用者参画型エンパワメント評価を中心に(仮)」を行います。

根拠に基づく支援環境の開発・変革アプローチとは、まず解決すべき問題の解決、支援ゴール達成に焦点を当てたゴール志向型アプローチ、問題解決志向アプローチです。それとともに利用者のニーズに根ざした利用者中心アプローチでもあります。支援ゴール達成の追求は同時に利用者本人が真に望むゴールの実現と基本的には重なります。

このアプローチについて、実践家・利用者参画型の「プログラム開発と評価」の方法論が有効であることを提起したいと考えています。これに対して、共催団体4団体を代表する皆さんからコメントを頂き、その上で各団体のご紹介を頂きます。

第一日目の午後に開催される大会校企画シンポジウム「変革:ミクロからマクロへの戦略~実践家・利用者・住民参画による効果的な支援環境開発の方法:プログラム開発と評価を中心に」を行います。このシンポジウムでは、基調講演を受けて代表的な2つの「プログラム開発と評価」の取り組みを提示するとともに、実践での取り組み、そして基盤となる価値・理念について議論します。

第二日目7月19日は、学会企画シンポジウムとして「変革:ミクロからマクロへの戦略~地域圏域レベルでのソーシャルワークアドボカシー:モデル形成、システム形成、地域プランニング」を行います。

ミクロからマクロへの戦略として、1日目に議論する「プログラム開発と評価」とは別に、ソーシ ャルワークアドボカシーがあると考えます。支援環境の開発・変革を必要とする個別ケースの「ケースアドボカシー」を積み上げて(ミクロから)、実践現場に共通して存在する解決困難な問題に解決方策を求める問題解決志向型アプローチは「コーズアドボカシー」(マクロへ)と位置づけることができるでしょう。このような取り組みを地域圏域レベルのグッドプラクティス事例(GP 事例)として、各共催団体からご推薦頂いた上でご報告頂き、その経験を共有したいと考えます。一日目に議論する実践家・利用者参画型の「プログラム開発と評価」とは異なる、ソーシャルアクションとしての方法論や、その他独自の方法論、その基盤となる価値や理念についてもご議論頂ければと考えます。

以上のほか、今回「ミクロからマクロへの戦略」の課題を自由研究発表として議論する場として課題セッションを用意しました。設定した課題は、「貧困に立ち向かう」「脱施設化に向けた変革」「地域包括ケアシステムの推進」「プログラム評価によるソーシャルワーク実践の質向上」です。この他、共催各団体会員の皆さんからのご報告をも含めて、50 演題近い多くの自由研究発表のご応募を頂いています。

これら各セッションでの議論を、二日目最後の「ソーシャルワーカーデーへ向けてのクロージング」に持ちより、全体で共有化するとともに、翌日のソーシャルワーカーデーに結び付けて行きたいと考えています。

7 月18日19日の二日間にわたって、会員各位、そして各共催団体の会員の皆さんの積極的なご参画を頂き、本大会テーマの議論を実質化するとともに、会員相互の交流と懇談の場になることを期待したいと思います。多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。

大会長 日本社会事業大学学長 大嶋巌

大会テーマ

「変革」:ミクロからマクロへの戦略 ―― つながりと分かち合いの未来へ

大会プログラム

1日目 7月18日(土)

9:00 受付開始
10:00 開会 学会長挨拶
10:15
大会長挨拶・基調講演・4 団体のご紹介とレスポンス
『根拠に基づく支援環境開発と変革、その理念
~実践家・利用者参画型エンパワメント評価を中心に~』(仮題)
12:00 昼食
13:30
大会校企画シンポジウム(~15:30)
「変革:ミクロからマクロへの戦略~実践家・利用者・住民参画による効果的な支援環境開発の方法:プログラム開発と評価を中心に」
◇シンポジスト◇
  • 副田あけみ氏(日本ソーシャルワーク学会副会長、関東学院大学教授)
    M-D&D による高齢者虐待への介入アプローチ開発
  • 山野則子氏(大阪府立大学教授)
    エビデンスに基づく効果的なスクールソーシャルワーク事業プログラムの構築と実施・普及 ~現場で使える教育行政との協働モデル~
  • 田尾有樹子氏(社会福祉法人巣立ち会理事長)
    精神障害者の地域生活支援 ~退院支援を中心とする巣立ち会 24 年間の活動を通して~
  • 室田信一氏(首都大学東京准教授)
    日本のマクロ・ソーシャルワークの現在形 ~Social Work without Social Action~
◇コーディネーター◇
  • 木村容子氏(大会実行委員長、日本社会事業大学准教授)
15:30 自由研究発表/課題セッション(~17:35)
17:45 情報交換会(~20:00)

2日目 7月19日(日)

9:00 受付開始
9:30 自由研究発表/課題セッション(~12:00)
12:00 昼食・総会
12:50 学会推薦論文表彰報告
13:00
学会企画シンポジウム(~15:45)
『変革:ミクロからマクロへの戦略~地域圏域レベルでのソーシャルワークアドボカシー:モデル形成、システム形成、地域プランニング』
◇シンポジスト等◇
  • 特定非営利活動法人 日本ソーシャルワーカー協会より
    市民ソーシャルワーカー育成の取り組み
    【報告】喜多祐荘氏(神奈川県ソーシャルワーカー協会会長)
    【紹介】久保美紀氏(明治学院大学教授)
  • 公益社団法人 日本社会福祉士会
    生活困窮者自立支援法に基づく「子ども支援を通じた地域づくり」の取組
    【報告】小林聖子氏(豊島区社会福祉協議会地域福祉推進課コミュニティソーシャルワーク担当)
    【紹介】高橋修一氏(北海道:日本社会福祉士会・現任研修プログラム研究委員会委員長)
  • 公益社団法人 日本精神保健福祉士協会より
    精神障害者の退院促進・地域移行支援、障害者の相談支援・地域生活支援
    【報告】岡部正文氏(一般社団法人ソラティオ代表理事、相談支援センターあらかわセンター長)【紹介】田村綾子氏(日本精神保健福祉士協会副会長・研修センター長、聖学院大学准教授)
  • 公益社団法人 日本医療社会福祉協会より
    地域に必要な医療介護提供体制にソーシャルワーカーは何を発信し、どのように関わるか
    【報告】岡村紀宏氏(日本医療社会福祉協会理事、社会医療法人恵和会西岡病院医療福祉課課長、医療ソーシャルワーカー)
    【紹介】早坂由美子氏(日本医療社会福祉協会理事、北里大学病院医療ソーシャルワーカー
◇指定発言者◇
  • 牧里毎治氏(関西学院大学教授)
◇コーディネーター◇
  • 小西加保留氏(関西学院大学教授)
16:30
ソーシャルワーカーデーへ向けてのクロージング(~17:00)
『これからの福祉課題にどう向き合うか──日本のソーシャルワークと世界の行動アジェンダ──』
◇司会◇
小原眞知子 氏(日本社会事業大学教授)
◇発題者◇
  • 木村真理子 氏(日本女子大学教授)
    日本のソーシャルワーク実践を未来にどう繋げるか ──これまでの動向と現在の到達点、および課題
◇発言者◇
  • 岩間伸之(大阪市立大学教授)
    日本のソーシャルワークアジェンダを考える ──世界との、アジアとのつながりのなかで
  • 志村健一(東洋大学教授)
    世界のソーシャルワーク教育に鑑み、日本の人材育成はどうあるべきか
  • Eva P. Ponce de Leon(IFSW 財務担当理事、フィリピンソーシャルワーカー協会会長)
    アジアから見た日本への期待・役割

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